6の月
先入観のない心は 真の慎ましさを知っています。 明白な、あるいは包み隠した批判なしに、 他人に真実を語らせる人を、 虚栄心の仮面はコントロールできません。 こうした開かれた心をもつ人は、 優越感の表れである態度を もつことも育てることもしません。…
たくさんの湖を囲む深い森の中で、夜の月は薪を抱え、部族のキャンプへ通じる丘を登っていました。自分の家族ではなく、病人を抱える一家のための薪でした。その日、そんなに遠出をしたわけではないのに、彼女の筋肉は震えていました。青ざめた午後の太陽の…
年老いた骨がきしんでも、 歩みはのろくても 彼女の微笑は眩く明るいのです。 彼女の頭は冴え、 その声は優しく、 そのふるまいを見るのは真の喜びです。 世界は変わり、 彼女は冬を迎えました。 けれど彼女は確実に誇りを積み重ね、 叡智を分かち合ってきま…
宇宙は完璧。 動きのひとつひとつは生の創造力で導かれ 独自の調和のリズムで 進化を続けています。 この宇宙で唯一、永遠なる欠陥は、限られた視界で創造を見ようとする人間のものの見方にあります。そのために信念が存在するようになったのかもしれません…
深い思いやりから生まれる理性は 人に調和のとれた話し方をもたらします。 自分自身に正直なら、真実を語るのはさほど難しいことではありません。調和のとれた話し方はもうちょっと大変。正直で直裁的な人の多くは、まっ正直が必ずしも歓迎されないことを忘…
声なしは、彼女の村のメディスン族の間でも謎でした。一度もしゃべったことがなかったのです。ずっと、全く声を出したことがなかったので、家族は彼女が話せるようにはならないだろうとあきらめていました。聞くことはでき、仕種で意志の疎通はできましたが…
私たちの人生は、夢の分かち合いです。伝説や神話、物語りを死に絶えさせてしまったら、人生の価値は低下します。どの文化の夢も、伝説を手本にしているのです。物語りが消え、尊敬される理想像がなくなれば、どの文化でも、よりよくなろうという動機を次世…
私たちすべての内に棲む神の道化師は 哲学や宗教、知識が真実か否かを その不謹慎さで試せるのです。 ユーモアのない哲学や宗教、生き方は生き残れません。笑いがなかったり、善良で清廉な楽しみがなかったりしたら、それは、何かがおかしいという赤信号。そ…
文化の実りはいつも 物語りとして紡がれます。 そして欺くことなく、 人々にインスピレーションを与えます。 勇気を語る物語りは 私たちを勇敢にします。 無駄を語る物語りは 節約の仕方を教えます。 物事の帰結を語る物語りは 賢くあるべきという警告を与え…
語り部志願の若い母親たちが、どんな物語りが伝統として 好まれるお話になるのかという語り部の説明を、黙って座って聴いていました。 「私たちには誰でも、子供の頃に聞いたことのあるお気に入りの物語りがあります。こうした話がどう進化してきたのかを考…
権威をかさに話す人は通常、ある意図をもっています。そうした人は、権威で自分の味方に他人を従わせようとします。権威をかさに話す人のすべてが他人の利益を考えないというわけではありませんが、しばしばそうした意図が見受けられます。 けれども真の権威…
常に自分で作り出した 嘘のなかで生きる人々の前で、 反対や混沌に直面しながら 真実を語る勇気こそ、 平和の使者の特質です。 拒否されることや仕返しを恐れる人にとって、真実を告げる選択をするのは難しいものです。けれども、自分の行動に責任をもつこと…
優しい母よ、物語りを聞かせてください。 私たちの祖先やその暮らしぶり、 どう彼らが美しく生き、 そのメディスンを学んだのかを。 物語りを聞けば、 ひとつひとつの教訓の大切さと それをどう人生に当てはめられるかが わかるから。 他人の例を通して その…
白松の偉大なる枝が地上に影を落とし、キツツキがその平和の木を掃除していました。キツツキは木の幹の内側についた小さな虫を食べていました。平和の木にとって、虫に食われるのはわずらわしい体験でしたから、肌の内側に入り込んだ気味の悪い虫を片づけて…
涙をもたらした言葉の 重みをはかれない 不誠実な人は 簡単に謝ります。 自分の行いを恥じる代わりに 他人を責める人は 決して謝りません。 頑固で常に自分が正しいと思う人は 妥協や服従を拒否します。 癒しの道を知るのは 良識の静かな声。 言葉には大きな…
友達は、私たちが知らない自分自身のことを教えてくれます。友からの真実の言葉は、売り買いできない貴重な宝です。真の友は、私たちを見下したりその人となりを侮辱したりすることなく、私たちの成長を支えるようなやり方で真実を語ります。 友は私たちの中…
真の努力と専念は決して 頭で作り出すものではありません。 私たちを広げ成長させ その可能性を開花させる こうしたクオリティは 心と精神が育てるものなのです。 6ばんめの月の巡りの地母神である語り部は、私たちが克服すべきいくつもの課題を物語りの形で…
子どもたちは波打つ海を崖から眺め、祖母の穏やかな語り声に聞き入りました。祖母は籠から貝殻を取り出し、貝殻の中に生きている波の音を聞かせました。そして、自分の想いに耳を傾けることを、人族は貝族から学んだのだと語りました。 好奇心の強い子どもが…
幸福な心が発する笑いは、昔から世界の嘆きを癒してきました。ユーモアは創造主が人類にくれた最もパワフルな味方なのです。自分たちを笑い飛ばせるその能力で、人類は傲慢さや恐れのカモフラージュである深刻さを振り払ってきました。 インディアンには昔か…
川の流れよ、 すべての曲がり角や 白い濁流を越え 水の精と出会えるところまで 私を運んでください。 思い出の岸を過ぎ、 流れを進めば 今日の陽が昇ります。 生命の流れが 私を、私の道すじを、 川の音を包みます。 川の流れは 私が聖なる地に立つまで 安全…
古代のインディアンの間では、話す時には次のようなルールがありました。 他人のことは論議せず、決して憶測で他人を弁明しない。 すべての人のプライバシーを尊重し、何かを内密で言われたら決して信頼を裏切らない。 他人に関する醜い噂は決して伝えず、そ…